お金の専門家、田口さんの44冊目の著作。
田口さんは、予備校講師をしているとき、飲み代や遊興費の支出により自己破産寸前まで借金を膨らませ、そこから一念発起、徹底した節約と資産運用により2年で返済、その後に資産を順調に増やし、経済的自由を勝ちとった方です。
著作も44冊目ということで、印税だけで1億円以上は手にしている、お金に関して酸いも甘いもご存じの方です。
1.悲し過ぎる「1億円をためた男の末路」
私が、この本でもっとも興味深いと思った事例は「1億円をためた男の末路」です。
「北海道在住のAさんは、50代後半の男性。大学卒業後に地元の中堅企業に就職してコツコツと真面目に働いてはいるが、これといった趣味もなく、お酒もたしなむことなく、結婚する機会にも恵まれなかった。」
『Aさんの趣味はズバリ「貯金」。実家で両親と暮らしていたため収入の2/3を貯金に回すことで54歳で貯金額は1億円を突破。』
『そんなAさんが、田口さんのセミナーに参加され、田口さんが投資をすることをすすめたところ「元本が割れるのが怖い」と拒否されたそうです。』(田口さん)
「数年後にAさんは心筋梗塞で亡くなったそうですが、貯金はそのままで‥‥。」(田口さん)
普通の人は、「人生を楽しむため」もしくは「嫌なことを避けるため」にお金を使いすぎる傾向があります。Aさんは「人生を楽しむことを遠ざけ続ける代わりに1億円を手に入れたはずです」しかし、貯金をいざという時に自分、もしくは身内のために使えなければ持っている意味がありません。
むしろ、多額の財産を残して死んでも、残された親族にお金を取り扱うリテラシーがなければ、醜い遺産相続問題を勃発させる火種を作ることになるのです。
2.使う予定もないのに貯金だけをし続ける「貯金バカ」
この本の中で、田口さんは「目的なしに貯金をし続ける人」、「必要以上の保険に加入しているうえに保険商品で資産を築こうとしている人」を「貯金バカ」と呼んでいます。
『「貯金バカ」は平均を上回る貯金額を持っているのに、お金に関する知識が乏しいため「身近な人が投資で上手くいっている」など、安易な理由で投資を始め資産を減らしてしまう傾向があるようです。』(田口さん)
「むしろ、貯金なし、年収250万円の人でも、将来の目標がしっかりと定まっていて、趣味や実現したいことのためにお金持ちを目指す人の方が実現されるといいます。」(田口さん)
「お金のストレフリーを目指すのには、手順を踏んで資産を増やす必要があるのです。」(田口さん)
3.お金は使うから「価値」をもつ
この本の最終章で、田口さんは御自身の両親のことを書いています。
お父さんは、死の直前、病床で株式取引を行い、購入銘柄の展望をメモに残して亡くなられたそうです。きっと家族に財産を多く残してあげたいとの思いでの行動だったのだと私は解釈しました。
一方、お母様は、趣味の旅行やエステなど、充実した人生を送るために上手にお金を使うタイプの人物だそうです。
『両親を見て、あらためて感じたのは、お金は「使う」ほうが人生の幸福度が増す』(田口さん)
持っている以上のお金を使い、借金返済に追われるのは困りますが、お金を増やしながら、賢く使うことが自分と家族を幸せにする「正しいお金の使い方」と結んでいます。
まとめ
さすがはお金の専門家、田口さんの著作。今までの講師活動により数多くの相談に乗ってきたことで知り得た事例が解りやすく載せられていました。
現預金なんて、「国がルールを変更した時点で紙切れになりえるモノ」と私は思っています。そうなったとき自分が困らないために、今のうちからお金に関する知識を蓄えておくことが、あとあとの自分を助けることになります。