2021年に世界遺産に登録された沖縄北部「やんばる」は、日本最大級の亜熱帯照葉樹林が広がるエリアです。
広大な敷地内は、貴重な固有種や絶滅危惧種を含む多様な生態系が広がっています。
今回は、沖縄本島北部、世界遺産に認定されて間もない「やんばる」の森をバイクで走り抜けた経験についてお伝えします。
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沖縄の1月の気温は15~20℃。寒さ厳しい関東から訪れると過ごしやすいのですが、雨が多いので外出が制限されることになります。
私が滞在したのは、本島中央部付近の今帰仁村(なきじんそん)。
9日間、ゲストハウスに宿泊して、雨が降らなかったのは2日だけでした。
滞在先に、排気量50㏄のカブで日本一周している途中に旅費を稼ぐためにリゾートバイトしている女性がいたので、交渉して1日3千円で愛車を借り受けることができました。
天気のいい日を待ち「沖縄の北部ツーリング」に挑戦する準備が整いました。
やんばるに実在する「カニ注意」道路標識
今帰仁から北上すること40㎞、沖縄本島の主要幹線道路、国道58号線沿いで珍しい道路標識を見つけました。
標識に描かれている生き物は、カニパンのパッケージに描かれているような「カニ」。
標識の在る場所は、国頭郡大宜味村の海沿になります。
5~10月の満月の夜、産卵のために海を目指すオカガニを轢かないように2000年に設置されたモノです。
その後、有識者等の意見を参考に、横断水路を設置したことにより轢かれるカニは減ったようですが、道路を横断するカニが完全にいなくなったワケではありません。
「日本広し」といえども、ここでしか見ることができない珍しい標識、国道58号線を通行する方は、一見の価値があります。
国頭港食堂、絶品!トロサバの塩焼き
カニの標識が立つ場所から700m北に、賑わっている食堂を見かけました。
簡素な平屋造りの食堂の周りは車で一杯です。
ちょうど、お昼時だったこと、更に北上するとコンビニはあっても食堂がないエリアだったので立ち寄りました。
1人の来店だったので5~6分の待ち時間で席につくことができました。
メニューは刺身、天ぷら、地魚フライ。料金は900~1500円。
私は、トロサバの塩焼き定食を注文しましたが、久しぶりに美味しい焼き魚を食べることができました。
消費税は内税、ランチのご飯おかわり無料。
沖縄本島北部に立ち入る前に腹ごしらえするのにオススメな食堂です。
沖縄本島最北端、辺戸岬(へどみさき)
沖縄本島最北端にある辺戸岬。
サンゴ礁が隆起した断崖から、左手に東シナ海、右手に太平洋を眺められる風光明媚な岬です。
天気がいい日は、水平線の彼方に鹿児島最西端「与論島」を望むこともできます。
辺戸岬は、沖縄海岸国定公園に指定される場所で、歩きやすい遊歩道が整備されています。
海に囲まれたキレイな景色を眺めながら散歩できる、とっても気持ちがいい場所です。
巨大なヤンバルクイナ展望台
辺戸岬から1.5㎞南下した場所に、特別天然記念物、ヤンバルクイナの形をした巨大展望台があります。
小高い丘の上に建てられた高さ11.5mの建造物は、辺戸岬から肉眼で視認できます。
展望台への経路は、国道から500m脇道に入り人気のない山道を進む必要があります。
展望台に上ると目の前に広がる亜熱帯植物の奥に広がる太平洋を一望することができます。ジャングルと海が織りなす素晴らしいコントラストを無料で観ることができるとってもお得な場所です。
ヤンバルクイナ生態展示学習施設「クイナの森」
辺戸岬から太平洋側を走る県道70号線を南下すること20㎞。
森の中にヤンバルクイナの生態を展示する施設があります。
この施設の最大の売りは、絶滅危惧種のヤンバルクイナが1匹飼育されていて、ガラス越しに生態を観察することができることです。
飼われているヤンバルクイナは、雄の「クーちゃん」。
生息環境に近かい飼育所の中で、水遊びをしたり、草むらを歩き周る姿はなんとも愛らしい。
「クーちゃん」は、農家さんが農作業中に発見した卵を施設が引き取り、人工的ふ化させた鳥の中で一番賢い個体を選んで連れて来たのだとか。
定期的に体重測定や健康診断をして、与えられるエサの量もコントロールされています。
野生のヤンバルクイナは人の気配を感じただけで姿を隠してしまうほど臆病ですが、生まれた時から人間と接している「クーちゃん」は、人間に対して警戒心がないそうです。
本物のヤンバルクイナを見ようと思ったら「やんばるの森」に立入る必要があります。また、ジャングルの歩き方を知らない素人がハブなど野生動物と接触したら大変なことになります。
そのことを考えると、入場料大人700円、小中高生300円で本物のヤンバルクイナを見られることはとっても効率のよい投資になります。
世界遺産「やんばる」「ブロッコリーの森」
沖縄本島北部のジャングル地帯“山原(やんばる)”。
「やんばる」とは、山や森林など自然が多く残っている地域を指します。
ヤンバルテナガコガネ、ノグチゲラ、イシカワガエルなどの固有種が生息していることから「東洋のガラパゴス」と呼ばれ2016年に33番目の国立公園に指定されました。
さらに、2021年に世界自然遺産の認定を受けたことで世界中の熱い視線が注がれる場所になりました。
世界遺産に認定されたエリアの直線は約30㎞。中心部は標高200~400mの尾根がはしり東西を隔てています。
「ジャングルに立入るのは危険」そんな風に考えながら、地図を見ていると、東西を横断する山道があることに気付きました。
中央を分断するように走っている道路は県道2号線。
もともと、林道だったところを舗装して1980年代に開通した道路です。
貴重な動物に出会えるかは運しだいですが、「世界遺産の森をバイクで突っ切れるなら行かない手はない」と判断して進路変更しました。
「やんばるの森」は、通称「ブロッコリーの森」と称されます。
ジャングルの中でよく見かけるブナ科のイタジイの木々が、ブロッコリーの形に似ているからこの名前が付けられたようです。
やんばる国立公園に入ったのは16時半。日没が迫っているうえに、厚い雲が空を覆い始めていたので、景色を楽しむ余裕はなく10㎞を走破してしまいましたが、とっても思い出になりました。
まとめ
沖縄のアクティビティーというとマリンレジャーを思い浮かべます。
しかし、「やんばる」が世界遺産になったことで、今後は緑豊かな北の森に興味が移り、大自然の中で希少な動植物に出会うエコツアー等のニーズが高まり人気スポットになっていくのだと思います。
走行距離:152㎞
訪問日:2022年2月5日
やんばるくいな、いいですね
施設でお金を払って見物するのがら安全でいいですね
安全もただではない事がよくわかりました^_^
はい、日本人は「安全」「水」はただ、と言う考えがありますが、よく考えたらそうではないことが解ります。