北海道の離島といえば「利尻」「礼文」を思い浮かべることと思います。
その次に有名なのが1993年、震度6の地震に見舞われた「奥尻島」。
殆ど無名なのが「焼尻(やぎしり)」「天売(てうり)」の2島です。
2022年夏の北海道は悪天候が続いたためバイクで一周することを諦めて雨の降らないエリアを巡っていました。
そんな時、ライダーハウスで出会ったベテランライダーから「焼尻」「天売」の熱い話を聞き訪れてみたくなりました。
今回は、愛車(ハンターカブ)で「天売島」を一周した経験をお伝えします。
世界最大規模の海鳥繁殖地「天売島」
小樽から稚内まで伸びるオロロンライン(国道)の中間地点「羽幌(はぼろ)」から西に30㎞。
日本海に浮かぶ周囲12km、人口300人の小さな離島は、雪解けから夏にかけて100万羽の海鳥が飛来する一大繁殖地。この海鳥の楽園を見るために世界中の愛鳥家に知られる場所です。
私が訪れたのは9月上旬、海鳥達は既に旅立った後でしたが、雰囲気だけでも味わうためにバイクと共に来島しました。
1日2便、船酔いに耐えるフェリーの旅
「天売島」へのアクセスはフェリーか高速船の2択。
定期船のダイヤは頻繁に変更されるので行く前に要確認です。
私が訪れた日に運航されていたのは、隣の「焼尻島」を0940と1510に出発する2便のフェリーだけ。高速船は運休でした。
「焼尻島」から「天売島」までの距離は3㎞、25分の船旅です。「羽幌」から「天売島」までの距離は28㎞、所要時間は1時間45分。
料金はシーズンによって異なりますが「焼尻」~「天売」2等片道730円、特殊手荷物(二輪自動車125㏄以下)1720円。
「羽幌」~「天売」2等片道2520円、特殊手荷物×2区間分3440円。
大きくないフェリーで外洋を航行するため天候の影響をもろに受けます。船酔いしやすい方は酔い止め必須の船旅です。
数十万羽の繁殖を目にできる「赤岩展望台」
「天売港」到着は15時半。
日が沈む前に島内一周を終えるため直ぐに走り出しました。
島の外周道路は狭いながらも舗装されていて走行するのに支障はありません。また、観光シーズンのピークは過ぎていたため他の車両や徒歩移動する旅行者も殆ど見かけませんでした。
最初に訪れた場所は、「天売島」の西海岸「赤岩展望台」。
人間の接近を拒む50mの断崖絶壁が連なる場所で多くの海鳥の繁殖地になる場所です。
私は愛鳥家ではありませんが、夕暮れ時に40万羽のウトウが一斉に帰巣する光景が凄く見たくなりました。
天売島一番のホットスポット「海鳥観察舎」
北側に続く壮大な断崖絶壁の上に設置された海鳥観察舎。室内に50倍の望遠鏡が設置してあり岩棚周辺に暮らす海鳥の様子を観察することができます。
出入口ドアの建付けが悪かったため夕方、10㎝隙間を空けたまま退室したところ翌朝、2羽の小鳥が迷い込んでいました。
ドアを全開にして追いやるように脱出させましたが、小鳥に大きな迷惑をかけてしまいました。
観察舎を訪れる方は、しっかりと扉を閉めて退室願います。
天売島灯台までの道中が険しい
天売港から1〜2㎞離れた場所に立つ高さ12m、赤白のツートンカラーの灯台。
舗装された外周道路から300m未舗装道路を進む必要があります。
未舗装の道は深い轍(わだち)と背の高い雑草が茂っているため簡単に通過することはできません。島の西側で「マムシ注意!」の立看板を何度も見かけたので、草深い場所はバイクのステップから足を上げて走行しました。
路面から察するに、管理のために訪れる人は小型のジープで来ていると思います。そうでなければ、途中でスタックするか車体を傷だらけにすることになります。
時期にもよりますが、レンタカーで簡単に行ける場所でないと感じました。
海鮮バーベキューで舌鼓【民宿「栄丸】
「天売島」は約10軒の民宿がありますが、営業期間は6~8月、5~9月、通年と宿によりまちまちです。
予約の電話を21時に入れても既に寝静まって電話を取らない宿も多いので、19時までに連絡することが望ましいです。
朝早く漁にでることが当たり前の漁師さんの生活は3~4時間前倒しで営まれているのです。
私は、前日に宿泊したペンションのご主人のオススメ宿「栄丸(さかえまる)」に泊まりました。
港から1.5㎞、比較的大きい木造2階建ての民宿。女将さんの人柄が柔らかく快適に過ごすことができました。
宿の1番の売りは夕食に提供される海鮮バーベキュー。
軒先に造られた雨風を凌げるバーベキューブースで宿泊客ごと食材を好みに焼いて各々で食べます。
この日出された食材は、ウニ、ホタテ、イカ、ホッケ、エビ。締めは海鮮丼でした。
ほとんどの食材は、ご主人が海で獲って来たモノ。イクラは、島で定められた漁獲高で賄えないため、別のエリアで分けてもらったモノを1年分確保して提供しているのだとか。
お腹一杯、幸せ一杯の晩御飯でした。
まとめ
天売島に滞在した時間は15時半~翌日10時半。僅か18時間でした。
渡り鳥を見に来た方や釣り目的の方以外は長居しても退屈することになります。
再訪するなら、100万羽の渡り鳥が島にいる時期に来たいモノです。
この後は、フェリーで羽幌に戻ったあと、オロロンラインを北上して稚内を目指します。
「天売島」訪問時期:2022年9月2~3日
海鮮丼、嘔吐覚悟のフェリーなど、⛴大変かもしれないけど、とても思い出に残る旅なのかなぁと思いました。
あの時行っていれば、と後悔する前に行きたいです
はい、身体が自由に動く間にあっちこっい行って経験値を高めておきたいモノです。