アップサイクルとは、捨てるものに手を加えて新たな製品を生みだすこと。
環境への負荷を軽減できるため、様々な企業が取り入れ始めた活動です。
今回、旅したラオスの世界遺産「ジャール高原」。その拠点となる町「ポンサワーン」の宿で究極のアップサイクルを発見しました。しかも、それは国連がSDGsを提唱する前から行われていました。
今回はラオスで発見した「究極のアップサイクル」についてお伝えします。
「ポンサワーン」で発見した驚きのアップサイクル
ラオス中央部にある世界遺産「ジャール高原」は1000個の巨大石壺が転がる世界的な珍スポットです。
石壺が作られたのは紀元前500年頃ですが、誰が何のために作ったのか解明されていない謎の多い遺跡です。
「ジャール高原」を観光するための起点は「ポンサワーン」。
チェックインを済ませてホテルにあった囲炉裏で火を眺めながら考え事をしているときに、違和感を感じました。「囲炉裏台として使われている金属フレームが長細い」。「わざわざオーダーして作ったにしては完成度が低い」。「であるなら何かを再利用したはず」。何を転用したのか考えること10分、正解が頭をよぎると同時に鳥肌が立ちました。
導き出した答えは“爆弾”だったからです。
私は、思いついた答えが合っているのか気になり、スタッフに確認したところ“クラスター爆弾”のカプセルと回答がありました。
爆弾から生活に必要なモノを作り出す
アップサイクルされるモノといえば、廃タイヤから作ったバッグやサンダル、造船古材の足場板からダイニングテーブル。ドリップし終わったコーヒーや紅茶を脱臭剤として使うなど身近なモノを思い浮かべると思います。
しかし、ラオスのそれはクラスター爆弾のカプセルを焚火台やプランター、飲食店オブジェとして使っています。
つまり、それだけカプセルが入手しやすく身近であるということです。
ベトナム戦争のときに中国から北ベトナム軍に物資を運ぶルートがあったラオスはアメリカ軍から50万回、200万t以上の爆弾が投下されたそうです。
分かりやすい表現に変えると「9年間8分に1度、爆弾が投下された」計算になります。
1発のクラスター爆弾がさく裂すると「フットボール場の広さのモノが殲滅する」といわれます。つまりラオスはモノを壊され尽くされた歴史があり、経済発展が大きく遅れた。そんな背景があるのです。
究極のアップサイクルの正体
宿のオーナーと話したときに「どこでカプセルを入手したのか」たずねると「昔は、車で1時間走れば一杯拾えた」。
「今は少なくなったとはいえ拾えないことはない」と答えてくれました。
また、大量に投下された爆弾の一部は今も不発弾としてあっちこっちに埋もれていて、道路工事や農作業により発見されることもあるのだとか。
そんな時は、地元の業者が1週間かけて掘り出して中の火薬を取り出して売ることで多くの利益を得ているのだとか。
もちろん、確率は少ないですが誤爆することもあるようです。
50年前に落とされた爆弾の火薬を使う。
まさに、世界1「究極のアップサイクル」だと思いました。
まとめ
世界遺産「ジャール高原」を目指したことで思いがけない歴史を知りました。
旅は、効率的に未知を既知(きち)に変換する素晴らしいアクテビティということを再認識しました。
因みに、ホテルの客室用の鍵に使われていたキーホルダーは機関銃の空薬きょうが使われていました。これもアップサイクル。
訪問時期:2023年1月
リサイクルの素晴らしさ理解できました。戦後の日本でも同じ事があったかもしれないと思いました
日本でも同じことがあったと考えます。