今回の旅の目的はインドの「アムリトサ」から陸路でパキスタン入りしたあとに7000m級の山に囲まれた山岳地帯「フンザ」で過ごすことです。
パキスタン入国初日、「ラホール」のホテルマネージャーに「フンザ」までの経路を細かく教えてもらいましたが、一筋縄でいかないのがパキスタン。
到着した場所で情報を集めて修正しないと到着できません。
今回は「ラホール」から「ラワールピンディー」(以後、ピンディー)経由、「ギルギット」~「フンザ」までの乗り換え及びロングドライブについてお伝えします。
「ラホール」~「ピンディー」高速バス移動
「ラホール」はパキスタンの北東部、インド国境に近いメガシティーです。
そこから「フンザ」は直線距離で600㎞北。当然ながら北に行けば行くほど山岳地帯に入るので道は曲がりくねり、くねった分だけ距離が延びることになります。
「ラホール」から初めに目指す場所はパキスタン全土を結ぶバスターミナルが在る「ピンディー」です。
パキスタンの国土は日本の2倍。鉄道も通っていますが、メインの移動手段は長距離バス。
「ラホール」~「ピンディー」は直線距離で300㎞。
高速道路が整備されているため、快適に移動できるルートでした。
移動に使ったバスは「ラホール」中心部5㎞西のバスターミナルから離発車する「Skyways Band Road Lahore」。
「ピンディー」は、首都「イスラマバード」の手前にあることから朝5時から午前1時半まで1~2時間おきに運行されています。
使われるバスは中国製ですが、デラックスな“プレミアムクラス”が売りのため、車体は新しくシートピッチは広目。各座席に専用モニターが付いています。
運賃は1500PRs(750円)。高速道路のサービスエリアで10分程度の休憩がありますが、300㎞の道のりを2時間半で移動できたのでとっても快適でした。
世界遺産のあるラホール城のあるエリアからバスターミナルまでは、オートリクシャーで30分。約9㎞の道のり、料金は450PRs(220円)でした。
「イスラマバード」~「ピンディー」移動手段の確保
「ラホール」でチケットを購入するときに「ピンディー」と伝えましたが、到着した場所を確認してビックリ!「イスラマバード」でした。
いすれにしろ、首都のバスターミナルに到着したのならこのターミナルから「フンザ」行のバスに乗り変えればいいと思い、隣の気難しそうなビジネスマンに尋ねると「『フンザ』へ行くバスはここからでていなと返答が・・・」。
スマホで検索してくれた結果、「ピンディー」にあるバスターミナルに行く必要があることが分かりました。
「ピンディー」のバスターミナルまではここから9㎞南東。「市バスでも行けないことはないが、経路が複雑なのでバイクで行くのがいい」と助言を頂きました。
結局、ビジネスマンはバイクタクシーを捕まえて行先を伝えてくれたばかりか、料金交渉、支払い300PRs(150円)まで済ませた挙句、ドライバーにチップを渡していました。
スーツ姿のビジネスマン、英語も堪能で裕福層そうだったのでお言葉に甘えましたが、イスラム教徒は総じて旅人に優しいことが分かり、前途多難な旅路に一筋の光明が見えた気がしました。
「イスラマバード」~「ピンディー」バイクタクシー移動
「イスラマバード」のバスターミナルから「ピンディー」のバスターミナルまでは、バイクで15分。
ヘルメット未装着、車道逆走、歩道走行など、日本では考えられない運転をしながら目的地を目指します。
到着した「Pirwadhai Bus Terminal Rawalpindi」は想像以上に巨大なターミナルでした。
「フンザ」行のバスを探すことも一苦労すると思ったので、ドライバーに探してもらいバスの横に降ろしてもらいました。
バスはTOYOTAのエンブレムがある旧式のマイクロバス。
中国で使い古されたあとにパキスタンに流されてきたようです。
チケットを売る係員に「『フンザ』に行くか尋ねると、「『フンザ』に行く直接便はないので手前の町『ギルギット』で乗り換えるように説明を受けました。
マイクロバスが出発する時間は1時間後の20時、運賃3000PRs(1500円)、「ギルギット」到着予定時刻は次の日の午前10時。14時間後の移動になります。
とにかく、早く「フンザ」に向かいたかった私は、チケットを購入して夕食を摂りに行きました。
ラマダン中の日没後のレストランは大賑わいでした。
私は空いている席を見つけて、チャイ(ミルクティー)とナン(発酵後窯焼きした平べったいパン)2枚を注文しました。
侘(わび)しい食事ですが、長距離移動中にお腹が痛くなったらとんでもないことになるため、保存状態の悪い食品が入る可能性のあるモノを避けました。
「ピンディー」~「ギルギット」マイクロバス移動
マイクロバスが出発したのは予定時刻の10分遅れ。パキスタンとしてはまずまずの出だしです。
シートは満席、ドライバーをサポートするスタッフ、直ぐに下車する乗客は昇降口に立っての移動です。
屋根上に大量の荷物をしばりつけ、車内の空きスペースや通路は自動車の部品や米の袋などが積まれパンパンの状態ですが思ったよりスピードが出ることに驚きました。
マイクロバスは当然ながら、シートピッチが狭く、足元にバッグを置くと足を置き替えるスペースもなくなります。
出発時間だけでバスを選び、他の会社と比較しなかったことに後悔し始めましたが今更どうすることもできません。
北に進むに従い少しずつ下車する乗客、荷物が降ろされることで車内にスペースが生まれてきました。
22時過ぎた頃ウトウトし寝落ち。気づけば23時過ぎにバスが食堂らしき場所で大量の荷物を降ろしています。眠気はありましたが、狭いスペースで3時間縮こまっていた体を伸ばすために外にでました。
荷物を降ろした後、バスのスタッフが次々に店に入り料理を注文をしています。
私も温かいドリンクを注文して様子をうかがっていると、スタッフの席に招かれ、どんどん運び込まれる料理を食べる様に促されます。
「加熱調理されている食品とはいえお腹を壊したくない」。
しかし、全く食べないのは失礼になると考え、少量のヤギカレー、チキンカレー、ジャガイモカレーとナンを頂きました。
初対面の緊張がほどけた頃、1番英語が話せるスタッフから「どこから来た?」「何のためにギルギットに行く?」「年齢」「職業」などの質問を受けました。
パキスタン人全体的に言えることですが、気のいい方が多く、怖いイメージを持つことが間違いであることに気付きました。
また、彼らの顔は老けて見え、20歳のドライバーが30歳。総じて10歳老けてみえることが分かりました。
ちなみに、私の年齢は52歳ですが、彼らは30歳前後だと思っていたようで、「なぜ、そんなにも若いのか?」理由を何度も聞かれましたが、お互い、難しいことを説明する言学力がなかったためこの部分の説明はできていません。
この時の私の食事代は、スタッフ達が出してくれたようで店の人に支払いをしいようとすると、首を振られ請求されませんでした。
カラコルムハイウェイの絶景
朝6時頃目覚めると、車窓から見たことないほど切り立った山に囲まれた景色が見えていました。
地図ソフトで場所を調べるとインダス川の上流。
イスラマバードから250㎞進んだエリアです。
要所要所で乗客が乗り降りし、搭載した荷物を配達先に降ろす。
がけ崩れの確認のための通行止め。ドライバーが1人なので休憩は多め。
10時間で進んだ距離は250㎞。1時間25㎞のスローペースです。
トイレ休憩するたびにスタッフや他の乗客に話しかけられコミュニケーションが生まれます。
目的地100km前からは助手席に座るよう促され特等席からパキスタンの山岳風景を楽しむことができました。
https://youtu.be/DmRbioOHlB0
ラマダン中(断食月)だったので、朝食、昼食を食べる機会はありませんでしたが、昨晩一緒に食事したことで仲良くなれて本当によかったと思いました。
最後には「ギルギット」到着50㎞手前、インダス川沿いにあるモニュメントに車を止めてドライバーとその親しい友人と記念撮影する機会まで頂けました。
「ピンディー」「ギルギット」移動で特質すべことは、「ギルギット」手前150㎞地点から銃を持った兵士を見かけることです。
ドライバー曰く、「川沿いの砂利や砂を採掘する中国企業を守るためのようです」が真意は分かりません。
それから、外国人は道中2回、パスポートを提示するチェックポイントが在ります。
警察官が必要事項を記入するだけの作業なので夜中に通過するときは、バススタッフが私のパスポートを持って手続きしてきてくれました。
代理人で済むようなモノなので厳格な確認ではないと思います。
もちろん、パスポートのコピーを提出する必要もありませんでした。
「ギルギット」~「カリマバード」バン移動
「ピンディー」を出発すること18時間半「ギルギット」に到着しました。
チケットを購入するときに聞いた「10時到着」はなんだったのか?。
しかし、これがパキスタン。文句を言ったところで慣習も感覚も違うのでしかたありません。
「ラホール」から移動を始めること25時間。身体がクタクタのため、仕方なく「ギルギット」のホテルに投宿しました。
翌日、朝8時に「ギルギット」バスターミナルで「フンザ」行の交通手段を探すと外れに止まっているバンに行きつきました。
出発するのは「ワンボックス車に乗客が一杯になったら」「早くても10時過ぎ」。
結局、車が出発したのは11時半。「フンザ」、正確な地名は「カリマバード」に到着したのは2時間後13時半、料金560PKs(280円)、50㎞の道のりでした。
まとめ
「ラホール」~「カリマバード」の移動に2日間を要しました。
飛行機に乗れば、あっと言う間に到着できる距離ですが、試行錯誤して目的地に到着したからこそ思い出深い旅になった他に現地人とも交流することができました。
「カリマバード」の気温、氷点下2℃。標高が高いとはいえ日中1 番気温が上がる時間で氷点下なのですからこれから先の滞在が楽ではないことを悟りました。
しかし、目の前に広がる7000m級の山が連なる景色を見るとそんなことはどうでもよくなる自分がいました。
次回は「カリマバード」に在る「フンザ城」についてお伝えします。
訪問時期:2023年4月
なぜそんなに若いのか?と聞かれるとは、充実した衣食住とストレスフリーで生活されているかも、と思いました
ほとんどの日本人が言われると思います!