海上自衛隊の艦で10年勤務していたので、国内は元より、北米、南米、中近東、南極など多くの国と地域を訪れました。しかし、離島に行くことは珍しく、私が上陸した記憶があるのは「屋久島」だけです。
そんな離島への憧れを引きずったまま、3年前にアーリーリタイアを遂げました。
そして2020年、長年貯めたマイレージで世界一周ビジネスクラスの旅に挑戦する予定でしたが、コロナの影響を受けて予定はキャンセル。代わりに一周したのは北海道。
レンタルバイクを使った10日間ツーリングの6日目は、長年行ってみたかった離島「利尻島」「礼文島」です。
夏季限定、フェリーとバイクを組み合わせた「利尻」「礼文」弾丸ツアー
北海道最北端のまち稚内市からフェリーで1時間半離れた利尻島は外周63kmの小さな島。総人口は約5,400人、昆布とウニなどの海産物と高山植物が有名で観光客が訪れる時期は6~8月。私にとっての魅力は辺境の地にあることと名前の響き。
稚内を朝6時過ぎに出港するフェリーにバイクを乗せると、1日で利尻島と礼文島を周遊して、その日の内に稚内に戻れます。
そんなフェリーとバイクを組み合わせた離島弾丸ツーリングに挑戦してみました。
一周する前に汲んでおきたい日本最北端の名水 甘露泉水(かんろせんすい)
環境省から名水百選に選定された「甘露泉水」が湧くポイントがあります。場所はフェリー乗り場からバイクで10分、利尻山の登山道を1㎞程登った3合目付近です。近くに立派な看板があるので見過ごすことはありません。
名前の由来は飲んだ人が皆、甘いと感じたと言われているためこの名前が付いたのだとか。本当に甘かったかは記憶にありませんが、日本最北端の名水を飲めたことに満足しました。
湧き水は、島の中心にそそり立つ利尻山の降水や雪解け水が地下に浸み込んで長い年月をかけてゆっくりと湧き出たモノです。島の湧き水は簡易水道により島内の家庭に届けられているので衛生的に問題ないと思います。
島内観光される方は島を一周することになるので、旅の始めか終わりに立ち寄って最北端の名水を楽しんでみてください。
一つ気を付けることは、登山口にある駐車場にバイクを停めている間にカラスが人間の持ち物を漁ることです。付近の住人がカラスに餌付けをしているので、人間の持ち物に食べ物があると思っているのだと思います。手袋やネックウォーマーを車体の上に乗せておくと紛失する可能性があるので収納するか持ち歩くようにしてください。
エサを待つ姿が愛らしいアザラシがいる仙法志御崎公園
利尻島の最南端にある仙法志御崎(せんぽうしみさき)公園では、野生のゴマフアザラシが住み着いています。
人間が近くを通ると水面に顔を出してエサをくれるのを待つ姿がなんとも愛らしい。
ついつい、近くのお土産屋さんでエサを買って箸で上げたくなります。
私が見たアザラシは1匹、怪我をしていたのを近くのお土産屋さんが保護したのだとか。
夏以外のシーズンは店が閉まるので、誰も面倒をみられません。冬が来る前に怪我が治り海に帰ってもらいたいものです。
この公園は入場無料、動物との触れ合いができるうえに、水がキレイなので昆布やヤドカリなどの生態を観察できるので、家族連れにお勧めです。
アザラシの可愛さを身近に感じられインスタ映えスポットなので、是非、立ち寄ってみてください。
交渉次第で安く食べられる漁師の獲った甘いウニ
利尻の1番の名物といえば「利尻昆布」。山に降った雨や雪が海洋深層水として海底に湧き出て良質な昆布を育てるのだと思います。
良質な昆布がたくさんあれば、それを食べるウニの品質も良くなりおいしくなります。
島内には、海底にいるウニを探して獲って食べる体験型施設があります。私は道沿いの小屋で殻を剥く漁師を見かけたとき、交渉して体験させてもらいました。シャイな漁師さんとの交渉は難航しましたが、「ここまできたら食べて帰りたい!」と言い切ったところ、2人で馬糞ウニ5個を1,000円で分けてもらえました。
その日は不漁だったといっていましたが、赤身の強いオレンジ色をしたウニの身は甘く濃厚でした。後で分かったことですが、体験施設でのウニ1個のお値段は1,500円、今回の値段が破格だったことになります。
1つ気になったのは、剥いた大量のウニの殻を木材でつぶしていたことです。「海に帰してカニなどのエサにするのですか?」とたずねたら「昔はそうだったけど」「今は、海上保安庁の指導でゴミとして出している」と困った顔をしていました。
世の中はSDGsやゼロエミッションなど持続可能な社会を目指している中で、循環させた方がいいモノをゴミ袋に入れて処分していることに違和感を感じました。
「白い恋人」のパッケージ景色が広がるオタトマリ沼
利尻で一番大きな沼「オタトマリ沼」に映る日本百名山の利尻山を「利尻富士」と呼びます。沼を囲むアカエゾマツの原生林がさらに旅情が深まるいいアクセントになっています。
ここから見る利尻山の眺めは全国的に知られているお菓子「白い恋人」のパッケージデザインになっているのだとか!
当日は曇りで、水面の「利尻富士」はおろか、利尻山さえも見られませんでしたが、お天気がいいときに訪れることができた人は絶景を楽しんでください。
20%高いガソリン価格、侮れない離島交通事情
同じ日に礼文島を訪れる人は、正午過ぎのフェリーに乗る必要があるため利尻島の滞在時間は4時間足らずです。
効率よく観光するためにはフェリーの出発地である稚内で燃料を満タンにしておくことが大切です。そうすることでガソリンスタンドを探す時間と給油時間を削減することができます。ついでに、離島はガソリン料金が20%程度割高に設定されているので旅費を節約することにもなります。
また、離島は信号が殆どなく、交通量が少ないので走りやすい反面、島民の荒い運転にびっくりさせられます。後ろを確認しない軽トラックがバックで現れて、追突しそうになり急ブレーキをかけました。
島の中でしか運転したことがないドライバーは自己中心的な運転をしてもなんとかなるのが現状なのでしょう。くれぐれも運転しているときは、牧歌的な景色に見とれて事故を起こさないでください。
まとめ
利尻島の滞在時間は4時間足らずでしたが、バイクを使ったことで、島内の主要観光地に立ち寄ることができました。時間があれば、利尻山登山に挑戦したかったですが、バイクとフェリーを組み合わせることで1日に2つの離島を周れることができたので大満足な1日でした。
次回は、礼文島についてお伝えしたいと思います。
北海道に滞在した期間:2020年9月1日~13日
ゴマアザラシがかわいいです!!
おいしいウニを食べるために交渉術を身につけたくなりました笑
ゴマアザラシかわいいですよ!
交渉力が身に付いたらウニ以外の交渉でも有利にモノを運べる可能性が高まりますよ。
バイク1台で世界が変わりますね
出船の精神でガソリン⛽️満タンにしておく事の大切さも理解できました。
おぉ!出船の精神を知っているとはさすがです。
しかも、使い方も適切です。