沖縄に「月光荘」という名の人気ゲストハウスがあるのを知ったのは10年前。
旅行作家「嵐よういち」氏のインターネットラジオ『海外ブラックロード』の番組内でコアな旅人が集まっている宿として話題に上がっていました。
番組を聴いた次の週、たまたま宿泊した同僚から宿の様子を聴き「いつかは行ってみたいゲストハウス」として私の記憶に引っかかっていました。
今回は10年越しに実現した、施設はボロボロなのに全国から宿泊客が押し寄せる沖縄の人気宿「月光荘」の魅力についてお伝えします。
「月光荘」の利点は恵まれた立地
月光荘のある場所は、沖縄で一番有名な目抜き通り「那覇国際通り」から300m脇道に入った所にあります。
最寄り駅は“ゆいレール”「美栄橋」。
徒歩圏内にドン・キホーテ、多くの飲食店、お土産屋があるため効率よく時間を使うことができます。
便利なロケーションに在る「月光荘」ですが、地図アプリを使っても建物を探しあてるのに苦労しました。
理由は看板のペンキは退色、下地は朽ち果てているため、目を凝らさないと視認できない酷い状態だからです。
私はスマホとにらめっこしながら3~4回行き来してやっと看板の存在に気づきました。
「月光荘」を目指すときは、宿が経営している食堂「つきのわ食堂」と書かれている比較的新しい看板を目印にする必要があります。
「月光荘」の難点は、ボロボロな施設とトホホな接客
「月光荘」の宿泊費は、どのサイトから申し込むかにより多少の違いはありますがドミトリー1泊1500円。
便利な場所にあるのに宿泊費が安いのには理由があります。
その理由は建物や施設が古いからです。
築古の木造2階建て民家をDIYで宿に作り替えて営業を始めたら「古民家と定義づけられる50年を経過して築70年になっていた」こんな風に見えました。
外観もそうですが、居室、シャワールームやトイレの使い勝手が悪いうえに清掃が行き届いていない宿で過ごすこと自体ストレスを感じます。
また、チェックインに対応したスタッフは宿泊客を客として接することができないトホホな方。
支払った宿泊費を捨てて、別の宿に泊まる選択肢も頭をよぎりましたが、ここに来た目的は「10年前に耳にした名物宿の確認」。
快適な宿泊を求めに来たのではなく“宿泊経験するため”と思考を切り替えて宿泊に挑みました。
「月光荘」最大の魅力はそこに集う濃い旅人
「月光荘」の離れで営業されている「つきのわ食堂」は昭和30年代の過疎地の小学校を思わせるような味のある雰囲気の建物と内装です。
「食事をしなければ、その食堂を評価する資格なし」と考えて、勇気をだして晩飯を注文しました。
この日、注文できたメニューはホイコーロー一択、ライス付550円。
「何となく料理できます」といった感じのシェフが作ったモノですが味は悪くはありませんでした。
陽が沈む頃になると「月光荘」のゲスト、他の宿泊施設の旅人や近隣に移り住んだ元旅人が10人くらいが集まります。
バイクや自転車で日本一周中、世界各地を回った経験を持つ方など旅の猛者がゴロゴロといました。
経験豊富な旅人から生の情報を5時間も聴けたのはとっても有意義であり、今後訪れる場所を判断するのにいい材料とすることができました。
注文したハイボールは、前の客が注文した生ビールの泡がサーバーに残ったまま炭酸水を注ぐ雑な提供で400円。
色々と思うところはありましたが、貴重な旅情報が聴けたことに価値があると思いました。
旅の情報が一番のご馳走「つきのわ食堂」
利便性の高い場所にあるが、建物が古い、個人ロッカーがない、掃除が行き届いていない、スタッフの態度が悪いなどネガティブな面が目立つ「月光荘」。
しかし、旅行者によっては気に入って長期滞在する方、2か月間スタッフとして働く方も見受けられます。
私は「月光荘」に2度と宿泊することはありません。
なぜなら、宿泊激戦地の那覇において「月光荘」より快適で使い勝手のいい宿が多くあることを知っているからです。
しかし、ディープな旅人の旅行話を聴くために「つきのわ食堂」には再訪したいと考えます。
まとめ
旅の猛者が集う宿「月光荘」。
沖縄県内のコロナ感染者数が急増している時期、国際通りを歩く人はまばら。そんな中でもベッドが7割埋まる「月光荘」の集客力は大したモノです。
一定数のファンの心をガッチリと掴んで、彼らがリピート、クチコミすることで施設の古さやサービスの低さをカバーしてくれています。
旅人の猛者が集まる→コアな旅情報が交換できる→話を聴きたい旅行者を引き寄せる。
そんな仕組みに支えられる不思議な空間です。
沖縄滞在期間:2021年12月1日~8日
世の中には、いろいろなお宿があるのですね
勉強になりました
時にはお金がかかっても経験を買うのも逆にありかもと思いました。
そうですね!
でも、いい経験になりました。