世界自然遺産「屋久島」。
訪れた多くの友人から「縄文杉は見といた方がいい!」このように聞きます。
2022年1月、感染症の収束はいまいち、海外に出かけるには時期尚早と判断して、長年、気になっていた鹿児島→奄美群島→沖縄本島の船旅に挑戦しました。
今回お伝えするのは1島目「屋久島」です。
屋久島1番の見どころ「縄文杉」
日本で初めて世界自然遺産に登録された屋久島。
当然ながら、認定されたのは島全域ではなく中心部の森20%です。
この面積が広いのか狭いのか?
私は判断できませんが、世界全域を比較しているUNESCOが景観的、学術的価値が高いお墨付きを与えたのですから、とっても凄い場所ということになります。
屋久島の来島者数は年30万人。観光で訪れた人の1番の目的は縄文杉を見ること。
既に、多くの方が訪れていため、携行品、交通手段、見どころなど、必要な情報はwebにあがっています。
しっかりと下調べをして、準備と体調を整えて臨めば一人で往復することは可能だと思います。
しかし、私はあえてガイドつきのトレッキングツアーに参加しました。
なぜなら、ガイドから縄文杉はもちろん、地元の生の情報を聞きたかったからです。
ツアー代は12000円。往復送迎、山用ストックの貸し出し。負傷した場合は応急処置をしたあと下山させてくれる安心もあります。
今回は、世界自然遺産「縄文杉ツアーに参加して得られた経験と知識」についてお伝えします。
縄文杉を見るのに必要な1日4万歩
屋久杉を見るためには夜明け前から動く必要があります。
片道11km、往復10時間歩くため暗くなる前に下山することを考えると朝6時に起点となる荒川登山口を出発する必要があるのです。
宮之浦地区に宿泊していた私の迎えは朝4時半、登山の起点となる荒川登山口に5時半到着。トイレ、朝食、準備運動を済ませたのち6時から登山開始です。
1月の日出は7時前後、懐中電灯の明かりを頼りに暗闇を進みます。
しかし、道は木材運搬に使われていたトロッコ線路(通称:トロッコ道)のため暗くても迷うことも危険を感じることもありません。
出発して2時間後は、100年以上前に伐採された巨大切り株の上に別の杉が生育して地面に向かって根を伸ばす接木(つぎき)のような大木が目につき始めます。
通常、伐採された切り株は朽ち果てますが、屋久島では切り株の上に別の杉が成長して融合して生き続けるモノもあります。この要因は保水能力が高く抗菌性がある苔が森を覆っているからのようです。
融合するのは切り株だけではありません、樹齢1500年の横に立つ樹齢2000年の杉が10mの高さで太い枝が見事な融合をしている木もありました。
お互いが手を取り合って年に何度も通過する台風から身を守っているのだとか。
ウィルソン株は偶然が作り出した奇跡の空間
トロッコ道を歩くこと3時間半、大株歩道入口に到着。
ここから先は本格的な山道を登ることになります。
山道を登ること40分、縄文杉の次に有名なウィルソン株に到着。
株の高さ4m、 周囲13.8m、推定樹齢2000~7200年。
縄文杉に並ぶ立派な大木ですが1590年、大阪城造営のために秀吉の命令で切り倒されたのだとか。(諸説あり)
伐採後、数百年の時を経て中心部の柔らか部分が朽ち果て10畳程の空間ができたため、地元の木こり達が屋根を付けて雨風を凌げる小屋として使っていたそうです。
1900年頃イギリス人植物学者ウィルソン博士がハーバード大学樹木園に使う植物を収集するために来日、1週間、屋久島でフィールドワークした際にここに泊ったのが名前の由来。この時に、案内をした日本人生物学者に残した研究資料が世界遺産の認定を受ける際に重要なエビデンスになったそうです。
現在は、屋根は撤去され、中から見上げるとハート型の空が広がるインスタ映えスポットになっています。
平均的な杉の寿命は500年、屋久島は栄養の乏しい花崗岩の土壌に生育しているため成長が遅くなり2000年を超える巨木が育つようです。
特殊な環境下で、数千年の時をかけて育った巨木。
伐採されたあと数百年の年月をかけ中が浸食されて作り出された巨大スペース。
この歴史的背景を知ることで初めて奇跡の空間であることに気付くことができるのです。
縄文杉、オーラを放つ巨木
ウィルソン株から1時間山を登ると「大王杉」が現れます。
縄文杉が発見されるまで最大の杉として知られていた巨木です。
大王杉からさらに1時間山を登と目的地、縄文杉に到着です。
樹高25.3m、幹周16.4m、推定樹齢2000~7000年。
今まで見たどの屋久杉よりも立派で、ただならぬオーラを放っています。
登山者の踏圧により根が傷むのを防ぐため縄文杉に近付くことはできません。
与えられた自由時間は20分。展望デッキや離れた山道など思い思いの角度から目に焼き付けながら写真を撮ります。
縄文杉以外で興味深かった木は通称「タランチュラ杉」でした。
暴風により折れた幹からクモの様に複数の枝が横に伸びる不思議な巨木でした。
縄文杉ツアーに参加して得られたモノ
日の出前~日没後までツアーに参加したことで、縄文杉は元より、他の巨木、多くの動植物、朝焼け、夕焼けなど多くの珍しいモノを見ることができました。
また、1日4万歩き切った達成感。
一緒に登山したガイド、ツアー仲間との結束など多くのモノを得られました。
しかし、1番の収穫は、要所要所でガイドの説明を聞くことで屋久島のことを深く知れたことだと思っています。
80歳を過ぎた方が屋久杉コースを踏破した記録があると聞きました。
健康であれば登れるコースなのかもしれませんが、学術的価値、歴史的背景を聞かなければ、巨木を見る山登りになってしまいます。
ただの山登りに多額の交通費と宿泊費、貴重な時間を投下することは、投資として考えると、とってももったいないことです。
是非、効率のよい知識と経験の習得に時間とお金を使って欲しいと思います。
まとめ
屋久島は1月に35回雨が降るといわれるくらい雨の多い場所です。
特に山頂付近はスコールに見舞われるのでどこかのタイミングで雨具を着用することになるそうです。
今回は、入山中1度も雨に降られない1シーズンに1度の幸運に恵まれました。
縄文杉ツアーは素晴らしい自然と触れられる、家族で訪れるのにちょうどいい場所です。
しかし、達成させるためには1日4万歩、山道を歩く必要があります。
挑戦される方は足に合ったトレッキングシューズを履いて、1か月前から足慣らしをしておいた方がリタイアを防ぐことになります。
また、登るときは軽装を心がけるとともに多めに携行食を持つなど準備を怠らないで下さい。
家族揃って屋久杉を見ることができたら一生に一度の素晴らしい思い出になると思います。
屋久島滞在期間:2022年1月10~15日
1日4万歩、とは、、驚きです。身体も鍛えておくべきかもと思いました
はい、身体が全ての資本ですから!