海外を旅するとき、ないと成立しないモノのはパスポートと現金。
とくに、クレジットカード決済が普及していない発展途上国では、現地通貨がないと何も始まりません。
日本円からパキスタン・ルピーに交換する難易度は、首都「イスラマバード」を離れれば離れるほど高まります。
「いつも、ATMで出金しているから問題ない」と思う方もいるかもしれませんが、街中で出金できるATMに当たる確率は1/10台です。
今回は、パキスタンで現地通貨を手にする方法についてお伝えします。
銀行両替、ATM、あっても換金できない現実
海外で現地通貨を入手できる所は、銀行や両替商で換金。ATMから出金するのが一般的ですが、入手には下記のようなリスクをともないます。
銀行・両替所
・ 銀行・両替所を探す必要がある。
・ 複数のレートを見比べなければ適正レートを判断できない。
・ 両替手数料を別にとる店もある。
・ 金額を誤魔化して手渡す店もある。
ATMから出金する場合
・ 停電のため機械が稼働していない
・ ATMの中に現金が補充されてないため出金できない
・ VISAマークが表記されているのに外国発行のカードが対応していない
・ カードが飲み込まれる恐れがある
現地語を話せない旅行者が、土地勘のない場所で両替可能な場所を探すのは骨が折れることです。
それでも、多くの日本人が訪れていれば、旅行記やブログなどから情報を得ることもできますが、パキスタンは、訪問者が少ないこともあり、役立つ情報は少数です。
そんなワケで、現地通貨を手にするために滞在中の限られた時間を使うことになります。
闇両替商 印・パ国境
忘れている方もいると思いますが、インド・パキスタンは現在停戦中。
3000㎞以上、国境が接しているのに、越境できるポイントは3か所だけ。
私は、インドの「アムリトサル」からパキスタンの「ラホール」を徒歩で超えました。
国境周辺に両替所はないと聞いていましたが、パキスタン国境からイミグレーションの建物まで距離100m。この間に話しかけて来た現地のおじさんが闇両替商でした。
持ち掛けて来たレートは1インド・ルピー(Rs)=4パキスタン・ルピー(PRs)。
なんともざっくりした交換レートで怪しく思いましたが、冷静に考えると相場から大きく外れているように思えません。
なにより、現在地から日本円が両替できる「ラホール」までは20㎞あります。
パキスタン国内でインドの通貨が使えないことを考えると、レートが悪かろうと手持ちのインド・ルピーを換金しておかないことがリスクと考え2000Rpを8000PRsに交換してもらいました。
闇両替屋は、「他の通貨からも交換できるので、持っていないか」聞いてきます。
越境する旅行者が極端に少ない国境のため、一人からできるだけ多く交換して稼ぎたいのだと思います。
さすがに、日本円からの交換はできませんでしたが、タイ・バーツから可能だったので、手持ちのB200を約1500PRsにしてもらいました。
残念ながら、入国審査のことに気をとられて、交換レートを記録していませんでした。このレートはうろ覚えです。
闇両替屋が立ち去る前に「何年この仕事をしているのか?」とたずねたら「10年」と答えが返ってきました。
つまり、「アムリトサル」~「ラホール」を越境する場合、国境に闇両替屋がいる可能性が高いことになります。
ATMからお金を引き出せる確率は1/6
パキスタン側、国境の町「アターリー」に両替屋はないがATMが1台あると事前情報を頂いていました。
情報通りあったので、VISAカードを入れ操作をするも、見たことのない英文が表示されてなかなか操作が進みません。
「カードと銀行の組み合わせが悪いのか?」、それとも「操作が悪いのか?」原因が分からないままその場を離れました。
翌朝、ホテルスタッフに「ラホール」徒歩圏内のATMを聞いて4か所当たりましたが、1台は停電のため利用不可、2台は現金が入っていない、残りは、手続きが分からないため出金できませんでした。
ラホールの両替屋
仕方なく、銀行で両替しようとしたら日本円の取り扱いはなし。
偶然にも、周辺を歩き回ったときに両替屋らしい店を発見。
恐る恐る入店すると、通貨の交換レートを示すモニターが置いてあったので一安心。
交換レートは1万円=18500PRs。
他の両替屋を比較していないのでレートが適正なのかは不明ですが、ここで現地通貨を手に入れる以外選択肢はありませんでした。
あとあと、分かったことですが、交換レートは都市によりだいたい決まっているそうです。
「イスラマバード」「カラチ」1万円→20500PRs。そこから離れるにしたってレートが悪くなり、首都から400㎞離れた観光地「フンザ」では17400PRs。18%レートが悪くなります。
もちろん、大量に両替をする場合は多少レートがよくなるようですが、いくらから有利になるかは不明です。
両替所の場所をGoogleマップで共有します。
ATM出金、カリマバード
「イスラマバード」から400㎞北の町「ギルギット」は比較的大きな地方都市であり、大通りに多くの銀行を見かけました。
6000m級の山々が立ち並ぶリゾート地「カリマバード」に移動する前に、現金を手にしておく必要があったので、ATMに片端から突撃しました。
操作が複雑なことが分かっていたので、銀行員に付き添ってもらい操作しても出金できません。操作を指示した人が支店長だったことを考えると、日本のVISAカードが対応していない銀行があることが見えて来ました。
こんなことを繰り返すこと1時間。「HBL銀行が国際決済対応している」ので出金できることが分かりました。
次の問題はパネルの操作方法。ATM横に立つ警備員に操作方法聞いてもらちがあかないので、出金を終えた前の客に手伝ってもらいやっと25000PRsを出金しました。
操作を分かりづらくしているのは最後の方に表記される「Please enter amount in multiples of Rs500.」「金額はRs500の倍数で入力してください」。
この入力する数字を冒頭の出金希望額より少ない金額で入力しないと操作が完了しない仕組みでした。
この辺りの動画を残しておけばよかったのですが、何をするのにも一筋縄で行かないパキスタンに飲まれ、そんな余裕はありませんでした。翌月のカード利用明細を見ると、現地通貨額25200PRsと表記してあったので現地のATM手数料は200PRs。日本側の手数料は220円でした。
もちろん、キャッシングには18%の金利がかかるため、帰国後に利子を含めた金額を確認したあと、カード会社の口座に振込みすることで余分な金利をダラダラ払うことを止めました。
ギルギットで出金できたATMの場所はGoogleマップを参照ください。
パキスタン国内でカード決済できた場所
物価の安いパキスタンではありますが、決済のほとんどが現金のため、財布の中の現金がなくなるスピードはとっても早く感じます。
2週間近く滞在して、カード決済できた場所は、高級なレストラン2軒とお土産屋だけでした。
レストランは5%の手数料、お土産屋は手数料なしで支払うことができました。
帯同していた通訳の知り合いのお土産屋だったので手数料をオマケしてもらえたのかもしれませんが、とにかく値段の張る買い物以外は、カードの取り扱いがない。
あっても、5%程度のチャージがかかります。
まとめ
パキスタンで賢く現地通貨を入手する方法は、「イスラマバー」や「カラチ」など、大都市に入った時に多めに現地通貨に変えておくことです。
地方に行けばいくほど、レートが悪くなるうえに両替できる場所がなくなるからです。
時間の限られた旅行中に「両替の心配」があると、行動がせせこましくなり落ち着いて旅ができなくなります。
陸路で入国する方は、隣国の通貨をパキスタン・ルピーに替えて、残りをクレジットカードで出金する。その場合は出金できる銀行が限られているうえにATM操作が異なることを念頭に置いておいてください。
便利な日本から、ことごとく非効率な国パキスタンの滞在。
そのうえ、言葉が通じないのですから、日本人の感覚で物事が進まないのは当たり前。その苦労を楽しめるくらいの余裕を持って行動したいものです。
イスラマバードの両替屋の場所は下記です。
訪問時期:2023年4月
こんにちは
記事がとても参考になりました。
わたしも今週末ギルギットのATMでのルピー獲得が必須なのです。最後の5の倍数の件ですが、引き出す額が5の倍数であれば良いということでしょうか?例えば30000Rsならそのまま30000と入力すれば良いのでしょうか?教えてください。
ユキオンナさん、お読みいただきありがとうございます
30000Rsより少ない金額を500の倍数で出金できると思います
停電、お金が入っていないなどATMが利用できないことも多々あるため、イスラマバードからパキスタンに入るならATMの多い首都で入手することをおススメします
両替する場所で手数料がずいぶん違うのですね。参加、勉強に、なりました。情報を知っているか、どうかでお金や資産も、変わるのかもと思いました^_^
はい、マイナーな国に行くときは情報を集めておかないと大変なことになります。