インド・ネパールの陸路国境を紹介するYouTuberがいますが、普通に通過している様子を見て鵜呑みにするのは危険です。
20か所の陸路国境を越てきましたが、その中でも難易度が高い場所だと感じました。
1番厄介だったのはインドのアムリトサル~パキスタンのラホールでしたが、停戦中の軍事境界線を通過するので、厳重なセキュリティや手続きがあるのは納得です。
インド~ネパール間は、領土問題を抱えていますが戦争にまでは至ってません。
それにも関わらず難易度が高く感じるのは、下記理由です。
① 各イミグレーションの場所が国境から離れているうえに分かりづらい。
② 出国手続きを済ませた後に別の手続きが必要。
③ 係員に質問しても返ってくる指示が適当。
④ 聖地巡礼をする団体旅行者に出くわすと審査に200~300人待つことになる。
下調べなしに国境に向かうと痛い目に遭います。
今回は、「インド・ネパール、スノウリ国境の越え方」についてお伝えします。
バナラシ~ゴーラクプル バスの旅
ヒンドゥー教の聖地バナラシ観光を終えたあとにネパール国境を目指しました。
バナラシからスノウリへの移動は、ゴーラクプルまで鉄道を使ったあとにバスでスノウリに向かうのが一般的です。
私は、インド国鉄の切符を購入することを回避したかった、発車時刻に予定を縛られたくなかったのでバス移動を選びました。
バナラシ発の長距離バスの起点は「バナラシジャンクション駅」向かいにあるVaranasi Cantt Bus Standです。
Googleマップを参照下さい。
バナラシのメインガート「ダシャーシュワメー・ガード」から500m陸岸の大通りからオートリキシャで100Rp、所要時間12分です。
バスターミナルは比較的大きく、20~30台のバスが停車していることから、広い路線をカバーしていることが想像できますが全ての車両が古くて汚い。
身体への負担を減らすために、スプリングが効いているシートに座れるツーリストバスで移動するつもりでしたが、ローカルバスしかありません。
バスターミナルに到着した時間は9時15分。
ゴーラクプル行のバスの出発は15分後の9時半。
10時発のスノウリ行き便もありましたが、体調を崩して途中下車するとバス代が無駄になるので、ゴーラクプル行を選びました。
バスは停留所で乗客の乗り降り、停留所以外で荷物の上げ下ろし、2回の休憩を入れて205㎞の道のりを8時間で移動します。
平均時速25㎞/h、運賃は358Rp、1㎞当たりのコストは1.74Rp。
車窓から風景を眺め、車内では30㎏の米袋を通路に置いて人の往来を塞ぐ男、子供用のプラスチック製乗用玩具を網棚に詰め込むご婦人など、人間模様を楽しむことができます。
ゴーラクプル~スノウリ バスの旅
18時半、終点のゴーラクプルに到着。
ターミナルに到着すると思ったら路肩に停車しました。
体力的に余裕があったのでスノウリ行のバスを探すと他のバスが見当たりません。
乗客に「スノウリ・バス?」と聞くと、オートリキシャを指差します。
オートリキシャ運転手に同じことを聞くと「60Rp」と言われました。
目的地も移動距離も分からないので言い値で乗るしかありませんが「他の乗客を乗せるから待て」といわれた瞬間に、半額に値切りました。
結局、バス停までは1㎞弱。
下車時、他の乗客達が30Rpを払っていたので相場で移動できました。
路肩に停車しているバスは5台、片っ端から「スノウリ?」と声をかけると、2台目のバスが15分後、19時に出発することが分かりました。
便がなければ近くのホテルに泊まって朝一に出発しようと思っていたので、渡りに船でした。
スノウリまでの道のりは97㎞。
交通量が少ない夜の移動なら3時間で着くと試算しましたが、濃い霧に阻まれて4時間近くかかりました。
食事休憩1回、3時間50分の移動だったので平均時速25km/h、料金は154Rp、1㎞当たりのコストは1.58Rp。
スノウリ行のバス停で、乗用車の運転手に「今乗れば、22時前に国境に到着するから、今日中にネパールに入れるよ」と声をかけられました。
「訪れたことない国境、夜中に着いてもろくなことが無い」と判断して断りました。
スノウリ国境の土地勘がある方は、シェアタクシーで移動できることを知っておいて損はありません。
ドライバーの言い値は500Rpだったと思います。
スノウリ国境の宿泊状況
濃い霧の中を進むこと約3時間、スノウリ国境のバスターミナルに到着しました。
ターミナル近くに1軒のホテルがありますが、料金は1250Rp。
翌朝7時にチェックアウトすることを考えると、8時間の滞在にそこまでの金額を払いたくないと判断して別のホテルを探しましたが、見当たらず戻りました。
外気温10℃の中、無駄に体力を使ったことを後悔しました。
交渉の末、50Rp負けてもらい1200Rpで宿泊。
ホットシャワーが出るとの説明でしたが蛇口から出てきたお湯は38℃。
寒くて浴びられないので、ツインベッドの毛布を2枚被って眠るだけでした。
一個、助かったのは24時間レストランが開いていたのでチェックイン後に食事がとれたことです。
翌朝、フロントスタッフに「どんなお客さんが利用するホテルなの?」とたずねると「インド人」と返ってきました。
外観がしっかりしていても中身が残念なクオリティに合点がいきました。
インドイミグレーション出国手続き【スノウリ】
イミグレーションオフィスが開いている時間は6~22時。
フロントスタッフから、「イミグレーションは込むので早い時間に手続きを済ませた方がいい」といわれていたので、朝6時に起床して行動しました。
パスポートと財布を持って70m離れたイミグレーションの門をくぐるとビックリ。
立ち込めた霧の向こうに50~60人の人が列をなしています。
「朝一で来たのに、なぜ、こんなに人が居るの?」と疑問に思いましたが、外気温7℃の外で待つしかありません。
前の女性が落としたパスポートを拾いあげた時にタイ国籍の方と言うことが分かりました。
前で待っている方々は白いストールを巻いて白い帽子を被った団体さん。
彼らは「タイから来た団体巡礼者で、外に停車している観光バスで移動している」と察しがつきました。
インドのイミグレーションオフィスは5人の係員が対応していますが、作業スピードがとってもスロー。
待っている人のことはお構いなしに仕事を進めます。
結局、6時10分に並び始めて、出国手続きが完了したのは6時50分。
手続きに40分かかりました。
ホテルをチェックアウトする前に出国手続きをしたので、荷物を持ち歩かなくて済んだのがせめてもの救いでした。
インド・イミグレーションの場所は下記です。
インド・ネパール国境付近の手続き
インド・イミグレーションオフィスから600~700m歩くと国境があります。
インド陸軍の制服を着た軍人に、「ネパール、イミグレーション?」とたずねると、「まずは、ここで手続きしろ」と言われます。
出国手続きが済んだ後に、国境にあるテントで係員にパスポートを渡してスタンプが押されているか確認をしてもらい、名前を控えられる無駄な手続きです。
手続きが終わったタイミングに「ネパール、イミグレーション?」とたずねると「ホテル・ナマステに行け」と言いながら手で道の方を指します。
軍人の差した方向に進むと、軒先にWELCOME TO NEPERと書かれたツーリストオフィス前でネパール警察官に呼び止められました。
ここでもパスポートを提示して、必要事項を控えられます。
団体の旅行者はツアーコンダクターが名簿を提出して通過しているようですが、漏れが出ないように、全ての個人旅行者に声をかけているようには見えません。
そうなると、何のために必要な手続きなのか疑問です。
いずれにしろ、旅行者は拒否する選択肢がありませんので、声をかけられたら従うしかありません。
ネパール・イミグレーション、アライバルビザ取得
国境を越えて600m直進した右手にホテル・ナマステはありました。
鉄筋コンクリート造の白い2階建ての建物の外に人の列が溢れています。
個人旅行者の他に「JTS」と書かれた水色のベストを着た韓国人が、観光バス4台分(200人以上)も申請待ちしています。
私は、臆することなく横を抜けて事務所に入り、係員にビザの取得方法を質問しました。
係員はビザ申請フォーム「Tourist Visa Application Form」を書いたか?聞いてきます。
持っていないことを告げると、私のパスポートを見ながらパソコンでフォームを入力し始めました。
プリントアウトしてもらった書類に間違いないか確認を終えた後に100Rp請求されました。
インドルピー・ネパールルピーどちらかたずねると、高い方のインドルピーと言われました。
アライバルビザの申請フォームの記載は簡単ですが、勝手を知らなかったためサービスを利用するしかありませんでした。
もし、この部分の支払いを節約したい方は、事前にネパール大使館のHPで入力したモノを持参すればおさえることができると思います。
必要な方は下記フォームをお使いください。
ネパール大使館HP
フォームを入手した後は、イミグレーションオフィスの横のRASTBIYA BANJIYA BANKの窓口に向かいます。
並んでいる人は2名、1人2~3分で手続きは終わります。
自分の順番が来たので、書類とパスポートを渡し15日のビザ代、$30を手渡したときに問題が発生しました。
書類に不備はないが、手渡した$20紙幣が古過ぎる、$5紙幣に3㎜の切れがあるので受け取れないというのです。
結局、別の紙幣を渡してことなきを得ましたが、この問題は全く想定していませんでした。
費用を徴収するのは銀行員であり、1997年(末尾はうる覚え)より古い紙幣、傷があるモノは受取らない明確なルールがあるようです。
持って行く紙幣にも気を配る必要があります。
ネパール入国審査【スノウリ】
銀行でビザ代を支払った証明書を手にした後は、イミグレーションで入国審査です。
受付窓口は2か所、各窓口に20人が並び、その後に100人以上が1列で順番を待っています。
係員にたずねると20人の後ろに入るよう指示されるので、20分程度で審査を終えられます。
入国審査に3.5×4.5の顔写真1枚と表記しているサイトがありますが、現在は不要です。
ネパール大使館のHPにも申請書類に顔写真は含まれていません。
入国審査時に係官にカメラを見るように促され、係員が撮影した映像が写真として使われます。
国境を越えて思ったことは、インド・ネパール両国は仏教、ヒンドゥー教の聖地がたくさん存在します。
これらを周遊する団体旅行者が少なからずいて、イミグレーションで出くわすと大きな時間のロスになるということです。
ネパールのイミグレーションが入っているホテル・ナマステの場所は下記です。
ネパールルピー両替
入国審査が済んだあとに必要になるのが現地通貨ネパールルピーです。
国境からナマステ・ホテルまでの600m間に10軒近くの両替所があります。
私はイミグレーションに向かいながら、見かけた両替所でレートを確認しました。
インドルピーからネパールルピーへの両替レートは1.5~1.58で大差はありませんでした。
しかし、数件の両替所はコミッションを取る店もあります。
相場が分かっていたので、両替所に飛び込んでコミッションなしで一番レートの高い1.58で両替を済ませました。
午前8時過ぎから数件の両替所が営業していますが、両替するのにネパールビザを求められるので、入国審査後に両替するのが無難だと思います。
ネパールSIMカードはNcell
現地通貨を入手したあとに欲しくなるのが現地の通信手段、SIMです。
お店は両替所ほど多くはありませんが、朝から数件が営業しています。
私は、旅行会社でネパールの見所を聞くついでにSIMについて質問しました。
取り扱っている通信会社はネパールで圧倒的なシェアを持つNcell。
プランはデータ量2G、無料通話あり、利用期間180日、料金300Rp。
10日間しか滞在しない私には十分なプランであり、1日当たりの通信料は30Rpで済みます。
利用登録に顔写真の撮影、両親指の指紋撮影など、今まで経験したことない手続きが必要ですが、セットアップは店員が実施してくれます。
騙すことの少ないネパールですが、7日間用SIMを購入したら1日しか使えなかった人もいるので、私は確認方法をたずねました。
通話アプリで、*101#を押すと通信会社が利用者のバランス(データ残量)をSMSで送ってくれるので一目で分かります。
データ量を追加したいときは、Ncell店舗でチャージすることもできます。
そもそも、動画など、重たいデータをにアクセスするのはホテルやカフェのWi-Fiに接続したときに限定すれば10日間で使い切ることはありません。
私がSIMを購入した旅行会社は、スタッフが英語を話すうえに親切で作業に慣れていたのでオススメです。
店の場所はGoogleマップを参照下さい。
まとめ
比較的すいているといわれる朝一から行動を起こして、出国審査、ビザ取得、入国審査、両替、現地SIMの入手まで終えるのにピッタリ4時間。
スノウリ国境を陸路越えされる方は、事前準備をととのえておく他に時間がかかることを念頭に旅程を立てることをオススメします。
スノウリ国境からポカラやルンビニに移動する方は、SIMを販売している旅行会社の正面に停車しているローカルバスでブッダチョークまで移動できます。
ブッダチョークに行けば次の目的地に行くバスに乗りやすくなります。
スノウリ国境からブッダチョークまでの距離は10㎞弱、30分の移動です。
バス料金は25Rp、1㎞当たりの移動コストは2.5Rp強ですが、乗車率は140%でした。
ブログを見て国境超えに挑戦した方で、現地状況が変わっていたことに気付いた方は情報共有して頂けると助かります。
訪問時期:2024年1月
インド1Rp=1.8円、ネパール1Rp=1.2円
次回は、ネパールの世界遺産「ルンビニ観光」についてお伝えします。