ヤンゴン市内は環状線で1周することができます。
ヤンゴン環状線の全長は45.9km、38駅を約3時間で一周する鉄道の旅です。
山手線より広いエリアをカバーしているので駅数が多い、車両が古いので車速が遅い的なイメージです。
使われている客車は日本で40年前に使われていたもの。行先を示す行先表や料金表など日本で活躍していた痕跡があちこちに残されています。
世界各地から来た鉄ちゃんが、写真を撮りまくるシーンをよく目にします。
ヤンゴンで大活躍、40年前の日本の車両
出発は、ダウンタウンの中心にあるシュレーパゴダから歩いて行けるヤンゴン中央駅。
山手線で例えるなら東京駅に当たります。
さすがにミャンマー鉄道最大の駅、歴史ある広い建物は、おもむきがあります。
チケットを買う場所は、駅の入り口ではなく各ホーム。環状線の乗り場は6/7番ホームになります。
チケット売り場で、指で円を書くジェスチャーをしたら、1周チケット200チャット(約16円)を発行してくれました。
チケットは有効期限と行先の2つの色違いスタンプを押したペラ紙になります。
※ときどき、車内検札があるので、なくさないように保管してください
ホームに入って来た列車を見てびっくり!昭和感が漂う40年くらい前まで使われていたJRの車両。
乗り込むのも一苦労。プラットフォームの位置が低すぎるので、垂直階段を上がる必要があります。
荷物を持っている人は乗るのが難しいので、乗客同士が助け合うのが基本。本当にミャンマー人は親切です!
ちなみに、列車のドアは開いたままです。というか、ドアが付いていません。
エアコンのある車両があるそうですが、きっと、その車両はドアが閉まることでしょう!そうでなければAC車にならないので‥‥(汗)
ヤンゴン版、電車でGo!
先頭車両から眺める景色は、まるで「ヤンゴン版電車でGo!」。だって、先頭車両の連結部は外壁もドアもない空洞!
しかし、運転席の横に、なぜかマシンガンを持った警官が立っています!
平和なヤンゴンにテロの危険性があるの?そもそも、線路の上しか走れない列車をジャックしても逃走先は線路上‥‥(汗)
そんなことより、その、マシンガンに実弾は入っているのですか?入っていたとしたら、心配することは、暴発や紛失のリスクなのでは?と、銃を取り扱う仕事をしていたので、そっちの方が気にかかりました。
そんな要らぬ私の心配をよそに、車内では、商魂たくましい売り子がドリンクやアイスキャンディー、フルーツ、ゆで卵などを販売しています。
中には2人掛かりで大量のミカンと軽量計を持ち歩き、キロ単位で商品をさばく強者までいました。
売り子が切符を買って商売しているとも思えません。
ミャンマー鉄道としては、乗客の満足度を上げるために車内販売を奨励or黙認しているのですかね‥‥?
外国人には、解りづらい駅名
停車しても駅名が解りません。もちろん、ミャンマー語で表記はされていますが、視力検査で使われるランドルト環(アルファベットのC)のような表記なので解読不能。英語で駅名を表す看板は駅の両端にしかないので非常に見づらい。
そもそも、読めたとしても、馴染みがない地名なので、現在位置を直ぐに見失います。
駅には、掘っ立て小屋のような粗末な建物が駅舎の役割を担っています。乗降客数が多い駅は、立派な駅舎が建っていることもあります。外壁の色は「赤」。
環状線の主要駅「インセン」で下車して周辺を散策するも、見るモノがない。そもそも、炎天下の中を歩くだけで、体調が万全ではない私にとっては生命の危険が‥‥(汗)
次の電車に乗り環状線1周を回ろうとするも電車が直ぐに来る訳ではありません。ミャンマーの環状線は1時間に2本。その上、乗るホームが変わるので、どの列車に乗ったらいいか解りません。
仕方なく、駅の案内係に聞いたら、時刻表を確認したあと「20分後に3番線に電車が来る!」と教えられ3番線で待っていると、来たのは、客車のついていない機関車の通過列車‥‥(汗)
もう、誰の言うことを信じていいのかわからない状態におちいり、ただただ、水分補給をしながら電車を待つこと1時間以上。
結局は根負けして、来た道を戻る車両に乗り、ゴトゴトとヤンゴン中央駅に戻りました。
環状線なのに乗り換えが必要、電車のダイヤはめちゃくちゃ!その上、頼りになるはずの駅員がダイヤを把握していない。
さすがミャンマー、大らかすぎる。私は一周することを諦めました。
2020年完成へ向けて、環状線のリニューアル真最中
ヤンゴンの人口は700万人強。ここ数年、人口は右肩上がりで増えています。
整備される交通インフラが人口増加に追い付かず、都市部では深刻な渋滞が引き起こされています。
市は対策として、都市交通の中で鉄道の占める割合を増やすことを計画中です。
具体的には自動踏切を導入する、高速のディーゼル気動車を導入するなど、環状線のリニューアルを図ることで道路の渋滞を緩和させる狙いです。
いずれにしろ、この回収工事には、日本が発展途上国のインフラ整備のためにお金を貸し出す円借款(えんしゃっかん)を最大250億円利用するというのですから、日本の納税者としても知っておきたいことではあります。
まとめ
1. ローカルな経験ができるヤンゴン環状線の乗車券は16円
2. 車内には銃を持つ警官、商魂たくましい物売りなど、人間模様が繰り広げられている
3. ミャンマー語が難解な上に英語の表記が少ない、地名に馴染みがないので、現在地を把握することが難しい
4. 交通渋滞緩和のため、現在、環状線のリニューアル真っ最中
日本の古い車両が今でも現役で活躍しているのは、日本人としては嬉しいものです。また、電車の中に日本語表記を残しているのは、支援国を明示するためにわざとなのだとか。
本当、支援するのなら、こう言った気持ちに応えてくれる国にしたいものです。
というか、経済力の衰退した日本がいまだに、外国に多額の援助や支援をすること自体、見直さないといけない気がするのは私だけですか‥‥?
ヤンゴンに滞在した期間:2020年2月7~10日 この後「バンコク」に移動