薩摩半島の南に連なる奄美群島。
その中央に位置しているのが「徳之島」。
2021年7月、沖縄本島北部及び西表島と一緒に世界自然遺産に登録されたことにより無名だった島の名が全国的に知れ渡りました。
徳之島の平均気温は21.9℃。沖縄と同じ亜熱帯性気候のため冬季の滞在は身体が楽で助かる場所です。
島へのアクセスは1日8便ある飛行機。鹿児島に向かう上り便、沖縄に向かう下り便フェリーが隔日運航されています。
今回は、世界遺産に登録されたばかり、まだ、脚光を浴びていない「徳之島」を先取りしてレンタルバイクで一周した経験についてお伝えします。
鹿児島→徳之島 快適な船の旅
徳之島に行くには、鹿児島港を夕方6時過ぎに出港するフェリ―に乗船して翌朝9時過ぎに徳之島の玄関「亀徳港」に到着します。
490㎞の距離を15時間で移動するのでフェリーの平均時速32km/h以上。
8000tを超える大型船の割に脚が早くて助かるうえに内装がキレイで快適な船旅を楽しむことができます。
ただし、天候が崩れれば船酔いしますし、寄港する港が変更されることもあります。さらに天候が悪くなれば運行が中止されて帰り便がなくなることもあるため旅程に余裕を持たせておくことが大切です。
特に台風の通過するシーズンと冬季は天候の影響を受けるので注意が必要です。
徳之島、移動に最適なレンタルバイク
亀徳港入港後、島の中繁華街にあるホテルを予約したあとに、レンタルバイクの取り扱いしている「植田モータース」を目指しました。
到着した時間は朝10時、そこから排気量50㏄のスクーターを夕方まで借りられて料金は1500円。
もちろん、消費した燃料は給油して返却する必要はありますが、周囲89.2kmの島を夕方まで走り回っても消費するガソリンは数ℓで済むため観光地におけるコスパ最強の乗り物です。
バイクを普通に運転できれば、交通量の少ない島で事故に起き込まれる確率は少ない。そのように判断して車両保険の加入は見送りました。
徳之島一周、最初の景勝地「ゴリラ岩」
島で一番栄えているエリア、亀徳港の南側を起点に時計回りでツーリングを開始しました。
走り始めて最初に目に付くのは「ゴリラ岩」。
島中心から4時方向にある海岸から100m沖にある直径20mの島がゴリラの顔に見えるためこのような愛称がついています。
走りながらだと見落としてしまうため、グーグルマップで「ゴリラ岩」を目的地に設定して移動することをオススメします。
この岩はどこから見てもゴリラに見えるワケではありません。所々、停車しながらゴリラに見える角度から撮影しないと他人から共感を得られない写真を撮ることになります。
因みに、グーグルマップでゴリラ岩と検索すると鴨川や淡路島など全国9カ所、該当する所が表示されます。
1個見ると他の場所が気になるので、機会があったら見比べてみたいと思います。
必ず立ち寄りたい闘牛場「なくさみ館」
島の5時方向、伊仙町目手久に「なくさみ館」と名前のつく立派な闘牛場があります。
「なくさみ」とは、「なぐさめ」の意味で「農業や漁業、家事など生活の辛さをなぐさめる」場所。
この島では、お正月や成人式、収穫祝いなど、おめでたいことがあると闘牛大会を観戦する風習が300年前からあるそうです。
島内の各部落で実施されていたモノを統合して観光客にも観てもらえるよう屋根付きの立派な施設にしたのが「なぐさみ館」。
私が訪れたとき、闘牛が実施されていなかったため人は皆無でしたが、会場に入って、立派な円形闘技場を堪能することができました。
闘牛と聞くとスペインを思い浮かべますが、日本でも鹿児島や沖縄、宇和島など闘牛文化がある場所も存在するばかりか今も継承されていることに驚きです。
1トンを超す牛同士の激しいぶつかり合い、次回こそは間近で見てみたい。
徳之島に存在している樹齢300年阿権(あごん)のガジュマル
奄美群島~沖縄に生息する樹木「ガジュマル」。
近くのガジュマルの枝を融合させることでお互い強風から身を守るのがこの植物の特徴です。
樹齢は長く100年生きるモノも多く存在しますが、徳之島には300年を超える立派なモノが存在します。
樹齢300年の巨大ガジュマルが見られる場所は島の7時方向に位置する阿権(あごん)集落。
サンゴ礁で緻密に組み上げた石垣の上を大小の曲がりくねった幹や枝が覆っています。
この場合は観光地ではなく、民家の軒先に生えているモノを公道から見させ頂いている状態です。
入場料も取られない代わりに、駐車場もなければ、案内版もなかったと記憶しています。そもそも、無許可で敷地に入れる所ではありません。
家主の迷惑にならないところから、巨大ガジュマルの生命力の強さと独特の雰囲気を感じてみてください。
充分に楽しむことができます。
戦艦大和の慰霊塔がある展望台、犬田伏岬
島の8時方向にある徳之島の最西端、犬田伏岬( いぬたぶみさき)。
奄美群島国立公園の一部であり、奄美十景にも選ばれている景勝地です。
第二次世界大戦末期、沖縄へ向かう途中で沈没した戦艦大和
乗員の『徳之島西方二〇浬ノ洋上「大和」轟沈』証言を元にこの場所に慰霊塔が建てられました。
合掌する人間の手をかたどった慰霊塔の高さは戦艦大和の指令塔と同じ24m。三角に突き出た岬にそびえたつ慰霊塔ごしに臨む南シナ海を見ながらご先祖様のご苦労に感謝できる貴重な場所です。
まとめ
徳之島が世界自然遺産に選ばれた理由は「生物多様性」。
「奄美大島」同様、世界的に貴重な固有種や絶滅の恐れがある動植物の生育地として価値が高いエリアです。
しかし、隣の奄美大島と異なり、世界遺産を間近で見られるジャングルツアーやマングローブ見学などできる場所は見当たりませんでした。
そんなワケで他の離島と変り映えのない島一周ツーリングになっています。
※後編に続く!
徳之島在期間:2022年1月22~24日
船で移動もいいですね。一度船移動も体験してみたいです
是非、御家族で体験下さい